翻訳屋佐吉の生活と意見関東を離れ、北陸に古民家を購入したとある翻訳屋の田舎暮らし事始めと日々のつれづれ。 

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重訳の季節

2013/01/31[木]《 翻訳屋稼業 》
 たまたま重訳の仕事が2件続いた。いずれも和訳案件で、ひとつはウクライナ語から英語を介しての和訳、もうひとつはドイツ語の英訳からの重訳だ。どちらも英訳は英語ネイティブの手によるものではないらしく、それゆえ、和訳に際して普段とはちょっと違った種類の苦労を強いられた。

 ウクライナ語からの重訳案件はウクライナの公的機関が発行した文書からの抜粋で、さすがに内容におかしなところや意味不明なところはなかったが、文章については、前置詞の択び方などにやや首を傾げざるを得ないところがいくつか見られた。決して間違いというわけではなく、云おうとしていることも充分理解できるのだが、日本の英語の教科書や文法書ではまずお目にかからないコロケーションがごく普通に使われているのだ。佐吉はそれらに出くわすたびに「本当にこの解釈で間違いないのか?」と立ち止まって確認するという作業を余儀なくされた。

 が、それはまだいい。いちばん閉口させられたのはウクライナの地名と法令名だ。"Kiyev"(キエフ)とか "Chernobyl"(チェルノブイリ)とかはともかく、"Zhytomyr" だの "Pidlisnyi" だの "Buriakivka" だのといった見慣れない地名は読み方を調べるだけでもひと苦労だし、ウクライナの法令名の定訳など検索してもまず見つからない。結局、どうしてもわからない場合は、地名についてはその綴りを頼りに他から類推し、法令名については字義通りに訳し、訳文にその旨コメントを添えてその場をしのいだ。

 一方、ドイツ語からの重訳案件は、内容自体は機械のマニュアルなので、特に理解に苦しむところもなく、最初のうちは順調にこなせていたが、読み進めるに連れて次第に、おや?、あれ?、何これ? と思うような部分が目につくようになった。訳が明らかに荒れてきているのだ。訳語が適切でなかったり統一されていなかったり、語順がおかしかったり、微妙に舌足らずだったり。"menu" が "menü" になっているかと思えば、"component" とすべきところが "componenten" になっていたりと、そもそも英語になっていない部分さえ散見する。訳がどんどん雑になっていくのがはっきりとわかる。極めつけは文書の後半で見かけたこの一文だ。
"What the f...... hell is this meaning?" (原文ママ)
 オリジナルの独語原稿でそれに当たる部分を見ると、文字化けしていてまるで判読できない。なるほど。よほどタイトなスケジュールでやらされたか、それともオリジナルの文章がひどかったか、あるいはその両方か。いずれにしても溜まりに溜まっていたくだんの独英翻訳者の鬱憤が、その文字化けで一気に爆発したのだろう。わかるよ。わかる。痛いほどわかる。佐吉にもそんな経験が何度もある。大きな声では云えないが、原稿のあまりのひどさに腹が立って、訳文にこっそり four-letter word を忍ばせたこともある(その後チェッカーに削除されただろうが)し、罵詈雑言に近いコメント……と云うより抗議文を添えて訳文を納品したこともある。そんな具合に普段はカリカリしながら仕事をすることの多い佐吉だが、今回ばかりは、遠く海の向こうに暮らす独英翻訳者に名状し難い sympathy を覚えたのだった。

 なお、独語からの重訳案件は現在進行形だ。ちょうどそれが終わる頃、佐吉と康文(細君)はまた高岡に赴く予定だ。

海を見ていた佐吉
異国の同胞に想いを馳せる佐吉
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2013/01/31 23:56 | Comment (0) | Site Map | Home | Page Top
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