翻訳屋佐吉の生活と意見関東を離れ、北陸に古民家を購入したとある翻訳屋の田舎暮らし事始めと日々のつれづれ。 

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ありがたい案件・ありがたくない案件

2012/06/15[金]《 翻訳屋稼業 》
 取引先A例の案件を朝イチで納品すると、その返事と一緒に次の仕事の打診があった。と云っても、内容は前の案件の続きで、以前から来ることがわかっていたもの。納期は10日後の月曜日で量は4万字弱。全部引き受けてもこなせない量ではなかったが、生憎すでに取引先Bの案件の予約が入っていて、期間の後半がそれとぴったり重なっている。なので、半分の2万字分ほどを受けることにして、その旨返信する。

 夕刻、外出から戻るとそのファイルが届いていた。早速下準備をして、夕食までの半端な時間に多少なりとも進めておこうとTradosを起動する。すると、作業を始めて間もなく今日3通目のメールが届いた。タイトルに”URGENT”と記された別の割り込み案件だった。開いてみると同じクライアントからの依頼で、中身は図表が大半。文章の形になっている部分はわずかしかない。また一方で重複する文言が多く、そういう意味では比較的楽な仕事だが、如何せん添付されていたのは紙の文書をスキャンした画像PDFファイルだった。それも決してきれいな画像ではなく、OCRで上手くテキストが抽出できるかどうか甚だ怪しい。しかも、ところどころ手書きの修正まで入っている。事情はともかく急いでいることは理解できたが、この格好だと恐ろしく作業効率が悪く、加えて原文との対応を明確にするため、ある程度の作表も必要になりそうだ。翻訳する側にとっては面倒なことこの上ない。

 そんなことを考えながら原稿ファイルを眺めていたところに、当のコーディネーターさんから電話があった。こうしてメールに平行して確認の電話があるのは珍しい。以前は依頼があるたびに電話かSkypeで連絡があったのだが、最近はメールのやりとりだけで済ますことがほとんどだった。

 「どうでしょう」と訊ねてくるコーディネーターさんに、「手書きの内容にちょっと意味が取れないところがあるので……」とかなんとか適当な理由をつけて難色を示す佐吉。これまでの経験から云うと、こんなとき、コーディネーターさんは「どうしてもダメですか」とか「そこをなんとか」とか、あるいは「若干納期を延ばすこともできますが……」などと譲歩したりしてしつこく食い下がってきたものだが、今回は「そうですか」とあっさり引き下がる。おそらくは、金曜夕刻の(彼らにとっての)発注のタイムリミットぎりぎりだったため、すでに1件仕事を依頼している佐吉を口説くより、とっとと別の翻訳者を当たったほうが得策と判断したのだろう。それは佐吉にとってもありがたいことだった。

 さて、そうして元の案件に戻り、30分ほど作業をすると、再び同じコーディネーターさんから電話がかかってきた。聞けばまた別の案件が入ったのだという。今度のは、クライアントが翻訳会社に仕事を依頼するかどうかを判断するために行うトライアルの案件で、内容はとある生産設備のカタログだという。これまたプラント建設絡みの案件だが、ジャンルで云えば、土木・建築というより機械。佐吉にとっては与しやすい案件だ。ところが、コーディネーターさんの話によると、これがちょっと訳ありの案件らしい。

 というのは、クライアントは以前に別の会社に英訳を依頼しているのだが、その結果に満足がいかず、あらためて別の会社に依頼することになり、そのためのトライアルがこの案件なのだそうだ。加えてクライアントが気に入らなかったという先の訳文が、参考資料として添付されているという。

 おもしろそうだ。過去の類似案件の訳文を示して「これに倣って」というのは珍しくないが、ボツになった訳文を示して「こうならないように」というのははじめてだ。おそらくそうしょっちゅうある話ではないだろうし、そのボツ訳文がどんなものなのか、ちょっと見てみたい気がする。

 加えて、トライアル案件は大抵、量がわずかでそれゆえ報酬は微々たるものだが、そこで自分の訳文が受注につながれば、翻訳会社から、あるいはクライアントから直に、大型案件の担当翻訳者に指名されることがある。佐吉の場合で云うと、先の化学会社の案件と今やっているプラント建設会社の案件がそうだ。また、そうでなくとも、受注できれば翻訳会社にひとつ恩を売ることになる。それによってすぐさまレートが上がるわけではないにせよ、以降、こちらに対する態度が少なからず違ってくる。ちなみに、佐吉がいま取引先Aに対して(ときに)強い態度をとることができるのも、過去に何度かそうしたことがあったことと無関係ではない。

 佐吉は二つ返事でその依頼を快諾した。
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2012/06/15 08:58 | Comment (0) | Site Map | Home | Page Top
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