翻訳屋佐吉の生活と意見関東を離れ、北陸に古民家を購入したとある翻訳屋の田舎暮らし事始めと日々のつれづれ。 

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考えるな! 感じるんだ!

2012/02/02[木]《 翻訳屋稼業 》
 『燃えよドラゴン』という映画をご存じだろうか。1973年に公開されたブルース・リー主演の……

 あれ? この書き出し、つい最近使ったような……。それに、『燃えよドラゴン』に今さら「ご存知だろうか」もないよなあ……。

 (-_-;;;

 やっぱり普通に始めることにする。

 さて、次の文を読んでみてほしい。ちなみにこれは、実際の案件からの引用ではなく、その典型的な云い方を真似た佐吉の創作である。
作業開始前の始業点検に異常がないか装置を確認する。
 一読しただけでは意味が掴めないかもしれない。二読、三読しても理解できないかもしれない。しかし、優秀かつ誠実な翻訳者はこれを、
始業点検には、作業開始前、つまり、装置を起動する前の停止状態で行うものと、作業開始後、すなわち、装置を稼働させた状態で行うものとがあり、ここでは、そのうちの前者について、正常に行われたかどうかを、装置を観察することによって確認する。
と、無理矢理 アクロバティックに解釈してみせるかもしれない。そうすることによって、少なくとも自分のところにくる原稿はいつだってきちんとしたものであるはずだ、という幻想にしがみつこうとするかもしれない。

 けどさあ……。

 そんなややこしい話、あるわけないじゃん。

 正解はこうだ。
装置の始業点検を行う。
 「原文に忠実に」、「訳抜けなどもってのほか」、とエラい人は云う。なるほど、完成された文芸作品であれば、その言葉の一つひとつが、然るべき理由があってそこに置かれている。翻訳に際しては、当然、それらを最大限に尊重しなければならない。

 しかし、世の中そんな立派な案件ばかりではない。実務翻訳の世界には、言葉選びの必然性などあざ笑うかのような奔放な原稿が、それも少なからず、存在する。むしろ、原文に惑わされたり振り回されたりしないよう注意しなくてはならない原稿がザラにあるのである。

 佐吉個人の(貧しい)経験から云うと、そんなときは、あまり馬鹿正直に考えない方がかえってうまくいくことが多い。原文そのものではなく、それを右から左へ頭の中を通過させた後の残像のようなものが、実は原文の真意だった、なんてことがよくあるのである。

 先の日記の案件がまさにそうだった。最初は、「こいつはいったい何を云ったつもりなんだろう?」とさんざん頭を悩ませたが、やがてそうすることに疲れ果て、考えるのをやめた途端、いろんなことが腑に落ちだした(若干の脚色注意)。最初は全部別だと思っていた「ロープ」と「ワイヤー」と「ケーブル」と「ワイヤーロープ」が、実はすべて同じものを指していることにもそうして気がついたのだった。

 さて、『燃えよドラゴン』である。かの作品の冒頭に、今でもしばしば引き合いに出されるあまりにも有名な台詞がある。

 Don’t think! Feel! (考えるな! 感じるんだ!)


 カンフーに限らず翻訳にも、ときには理屈ではなく感覚的な判断が必要だ。と佐吉は思う。

 ちなみに、くだんの案件は今日ようやく納品することができた。だが、安堵したのも束の間、すぐさま第二弾が送られてきた。やれやれ。
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2012/02/02 20:44 | Comment (0) | Site Map | Home | Page Top
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