翻訳屋佐吉の生活と意見関東を離れ、北陸に古民家を購入したとある翻訳屋の田舎暮らし事始めと日々のつれづれ。 

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翻訳トライアスロン2013〈出版〉結果発表

2013/11/09[土]《 翻訳修行 》
 アメリアの「翻訳トライアスロン2013」第1種目〈出版〉の結果が発表された。佐吉は92点(平均65点)で305名中2位だった。結果を知って最初に思ったのは、「上位に入れてうれしい」でも「1位でなくて残念」でもなく、「ホントにあんな訳でいいの?」ということだった。

 前にも話したとおり、今回応募した訳は、締め切り間際に突貫工事で仕上げた文字どおりの「やっつけ仕事」だった。ひと通り体裁を整えたところで時間切れ。推敲など一切していない。前回(去年)はひと目でわかる入力ミスが3つも4つもあったので、せめて今回はそういうことのないよう注意した程度だ(っていうか、そんなのは当たり前のことだが)。もちろん、いま読み返してみてもおよそ準備稿か下訳としか思えないひどい代物だ。

 では、なぜそんないい加減な訳がそこそこ高い評価を受けたのか。佐吉なりにちょっと考えてみた。

 ときに、こういう話をすると「適当に作った訳でもこんな成績がとれちゃうオレ様優秀すぎィ」という自慢話と受け取る向きもあるかもしれない。(翻訳業界関係者にしばしば見られる)自慢話の大好きな人ほど、他人の何でもない発言まで自慢話と思い込み、「オ、オ、オレ様はもっとスゴいんだぞ、キーーッ!!」とムキになる傾向があるようだ。もちろん、それは佐吉の本意ではない。が、まあ、いいだろう。世の中には少なからずそういう思考パターンの持ち主がいるものだ。日々執拗に自慢話をし続け、あまつさえ他人のブログも精力的に渉猟し、せっせと茶々を入れる。そんな屈折したバイタリティには恐れ入るが、そういう人たちが何をどう解釈し、どんな自慢をしようと佐吉の知ったことではない。死ぬまでやらせておけば良い。そんなことより、この予想外の結果の理由を佐吉なりに考察してみることがどこかで誰かの役に立つかもしれない。そっちの方がはるかに大事だ。で、以下、思いついたことを書いてみる。

 思うに翻訳トライアスロンは、審査に際して応募者全員の訳文をくまなく精査しているわけではあるまい。課題は1000ワードほどの短い文章だが、それでも300人分の訳文の隅々にまでに目を通し、その一つひとつに点数をつけるのは並大抵の作業ではないだろう。おそらく、差がつきやすい評価のポイントがあらかじめいくつか決めてあって、その出来に応じて全応募訳をいくつかのランクに大別、然るのちにそれぞれのランク内でより細かな評価基準によって具体的な点数を決定。大まかに云ってそんな方法をとっているのではないかと想像する。少なくとも佐吉が審査する立場ならそうする。で、佐吉の訳はたまたまその評価のポイントとなる部分が上手く訳せていたのだろう。訳全体を同じ比重で眺めたら、きっとあれこれボロが出て、もっと低い評価に終わっていたに違いない。

 また、時間がなかった分、いたずらに訳をこねくり回さなかった点も良い方向に作用したのではないかと想像する。文芸翻訳に関しては「小説らしい」文章にしようと素人(というか、経験の浅い人間)があれこれ訳をいじくると、大抵、ろくなことにならない。いじればいじるほど原文に近づくどころかむしろ遠ざかってゆき、終いには原文とは似ても似つかない「オリジナル作品」ができあがってしまう。実務翻訳であれば、そんな限りなくリライトに近い作業が必要な事例もないではないが、完成度の高い、少なくとも文章を信頼するに足る文芸作品の翻訳に際しては、過剰な演出は自己満足以外の何ものでもない。その点、今回の佐吉の訳は身も蓋もないほど愚直な直訳調の文章だった。そうするほかなかったのだ。が、まさにそれゆえに原文からかけ離れた部分が少なかったのではないか、と想像できるのである。

 ついでながら、今回応募した訳について、上で「推敲はしていない」と云ったが、佐吉は、大抵、初手から完成品を作るつもりで訳してゆく。聞くところによると、最初は下訳としてざっと訳し、推敲段階でそれを徐々に詰めていく、という手法をとられる方も多いようで、そういうやり方と比べてどちらが良いのかはわからない。まして「こんな訳し方をしてるオレ様すげえだろ」という話でもない。たまたま佐吉にはこのやり方が合っていたというだけのことだ。ともあれ、そんなわけだから「推敲する時間がたっぷりあればもっとずっと良い訳が作れたはずだ」という話ではないことを云い添えておく。

 そうそう、もうひとつついでに今回の講評とともに示された村井智之氏(出題者)の訳例については、もちろん佐吉のとは比べ物にならないくらい完成された訳だったが、正直、原文と比べてやや饒舌すぎる印象を受けないでもない。トライアスロンの参加者に対して「これくらいに訳してみろ!」という意味合いで書かれたものと考えればこれで良いのかも知れないが、一方で、読者寄りの立場から見て、もうちょっとすっきりさせたほうがしっくりくるのでは? とも思う。

 さて、こうして箸にも棒にもかからないだろうと思っていた〈出版〉で思いがけず点数が稼げたことで、総合で昨年に続いて1位という可能性も出てきたわけだが、どうだろうなあ。今年は3種目のうちで「こいつは鉄板」っていうのがひとつもないんだよなあ…… (´д`)
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2013/11/09 18:18 | Comment (0) | Site Map | Home | Page Top
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